三回目の挑戦

出会いはまだ二十一世紀になる前だった。そのきっかけは定かではない。
塩野七生著「ローマ人の物語」を最初に手にした瞬間を今も鮮明に記憶している。
かすかな身震いさえ覚えた。作者は一年に一作のペースで執筆する。新しく出版されるのが待ち遠しくて何度も本屋に足を運んだ。
西洋史にはあまり興味がなかった私は、その歴史的背景を今一把握していなかったため、読破するのに相当な時間を要した。また聞きなれない名前が多く、何度もページを戻らねばならなかった。表現自体は平易な言葉だったが、私には難解だった。
約一年半をかけて何とか十五巻全てを読み終えることが出来た。しかし達成感はほとんど感じられなかった。むしろ不完全燃焼だった。しばらくして文庫本を書店で目にしたので、買い揃えて一年ほどで全四十二巻を読み終えた。少しは理解度が高まった感じがした。
四年前パナホーム兵庫の社長を辞してからイタリアを旅した。予め現地ガイドに「古代ローマ」を旅するというテーマを知らせていた。特にカピトリーニの丘にあった「ユピテル神殿」の存在が知りたかった。ディラテーナ地方まで出かけたが、結局ユピテル神殿を目にすることはなかった。(イタリア旅行記はまだ執筆していない)
この七月からもう一度「ローマ人の物語」に挑戦している。三回目になる。
『ユリウス・カエサル』の巻がもう直ぐ終わろうとしている。カエサルと別れるのが少し寂しい気分である。
単行本、文庫本、イタリアの旅、そして再び文庫本。
数多くの歴史作家達が『ローマ史』を書き記したが、その殆どが存亡の観点からの著述であったが、塩野女史は繁栄の観点でこの大作を書した。つまり《なぜローマは滅んだか?》ではなく《どのようにして千二百年も栄えたか?》なのである。
だから爽快なのである。

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