女刑事 音道貴子

女刑事音道貴子シリーズの一作である、乃南アサの『鎖』を読み終えた。
何年か前に「凍える牙」を読み、次いで「嗤う闇」を読んで以来の、音道貴子との出会いである。
上下巻の長編サスペンス小説である。上巻は5日程かかったが、下巻は1日半で読破した。
物語は占い師夫婦とそれに巻き込まれた信者夫婦の殺人事件から始まる。
刑事の活動は二人ペアが規則であるが、貴子が組んだ相手と全く息も考え方も合わず、やむを得ず単独で行動するのであるが、ふとした気の緩みから犯人グループに監禁されてしまい、鎖に繋がれてしまう。犯人グループの中の「中田加恵子」という女性もまた犯人の一人に、精神的にも肉体的にも鎖に縛られている。犯人グループもまたそれぞれに家庭や社会の鎖に繋がれている。犯人を追い込むベテラン刑事『滝沢』も同じ環境にある。
絶望と恐怖の中に閉じ込められた女刑事音道貴子の心理描写は、私の睡眠を大いに妨げた。
エピローグで、貴子が恋人の昂一と一緒に中田加恵子の両親を訪問し、彼女に面会をしてやって欲しいと依頼する場面に、ほっと救われるのである。
それにしても乃南アサという作家の凄さは、一体どこから生まれてくるのであろうか?
テレビドラマにした時の、キャスティングを考えてみた。
貴子は?昂一は?滝沢は?中田加恵子は?そして諸悪の根源である星野は?
《女刑事 音道貴子》と当分離れられそうもない。

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