誰でもこの季節になると詩人になる。
僕も久しぶりにラブレターが書きたくなった。
貴女と別れて2年半が過ぎようとしている。しかし貴女を僕の中から取り払うことは出来ない。出来ないどころか、以前にも増して貴女への思慕は深まるばかりである。
丁度秋が深まるように、
貴女と暮らした9年余りの蜜月は、僕にとってこの命が消え去るまで、僕の中に居続けるであろう。
夏布団から少し厚みのある掛け布団に変り、その布団に包まってベットの中で目を閉じると、今でも貴女が僕の左隣に擦り入ってくるようでなかなか寝付かれない。
カーテン越しの朝の陽光で目が覚め、左隣に貴女が居ないことに気づき、手探りをして現実に戻る。
晩年の3ヶ月は、病魔に冒されながらも僕を充分癒してくれた。
ベッドに貴女が時々戻した痕跡が残っている。それさえも貴女との愛の象徴である。
死の間際まで貴女の黒髪は輝いていた。
右目こそ塞がっていたが、左目は澄み切ったエメラルドグリーンのままだった。
僕の部屋の引き戸は閉じることはない。いつでも僕は貴女を待っている。
僕の愛猫《クロ》に捧ぐ
