私が高校3年の夏の終わり頃だったと、記憶している。2階の自室で大学の入試勉強をしていると、父が階段をコツコツと上がってきて、
「新しく会社を創ろうと思う。」とボソッと言い残して、階下に下りていった。50年前の出来事である。今でもそのときの情景を鮮明に覚えている。
父はそれまでは雇われ、今風に言えば最高経営執行役員だった。新たに会社を興し、実質共にオーナー社長としてスタートを切ったのである。私はその出来事を契機にジャーナリストになる夢を諦め、父の興した企業を継ぐことを決心したのである。その会社が《八幡建設》である。あれから50年の年月が経過した。6人で創めた会社は、グループ企業10社併せて今現在社員数も330人を要し、売上も200億、利益は5億を超す企業群を形成している。
私は規模が大きいことが企業の価値基準ではないと思っている。このくらいが当グループの適性規模だと考えている。今後の優良企業の価値判断は①バランスシートの充実。具体的には自己資本率40%。営業利益額の前年比アップ。②従業員満足の充実。離職率が低いこと。③顧客満足の更なる充実。④環境問題への取り組み。具体的な取り組み事項の実施。⑤社会貢献。出来ることを継続的に実践。
我々のグループを取り巻く環境は、外部的にも内部的にも課題は山積している。何時の時代もどの企業においても、課題が存在するのは当たり前であり、それを解決しながら少しだけ将来を見据えて実践していくのが経営であり、事業を展開していく面白さでもある。外部環境は、少子高齢化を含めた人口の減少である。そのことは取りも直さず《新設着工戸数》の減少に繋がってゆく。ある民間シンクタンクに拠ると、2020年には今の90万戸から65万戸時代が到来するとのことである。価値観の多様化も重大な変化である。内部的には経営幹部を筆頭に、全ての従業員の教育訓練に尽きる。人間学は勿論、技術的にも知識面においても更に向上心をもって取り組んでいくことが不可欠である。
父が興した企業を様々な紆余曲折(私の拙著「ある二世経営者の挑戦」参照。近々出版予定)があったが、次世代へ健全に渡す事が、私の『下山の思想』に繋がって行くと考えている。
波裡庵閑話
ブログ
