六月第二火曜日九日の講座をお願いしたのは、薬師寺の執事長の「加藤朝胤氏」である。私自身も大変心待ちにしていた講座である。
加藤氏はどのくらいの立場かと云うと、俗っぽい表現で政治の世界に例えたら、自民党の幹事長兼政府の官房長官みたいな地位である。
私の同級生の釜田氏(志澤塾の講師でもある)が、定年退職後一念発起して母校の龍谷大学に再び学んだときに、加藤氏と知り合いそのご縁で今回の運びとなった。
最初に輪袈裟を掛け、丁子(ちょうじ)を口に含みながらお写経をした。
塾生に混じって私も久しぶりにお写経をさせて頂いた。平成二十四年三月五日に、千枚目のお写経を終えて以来だった。
般若心経の心は、『かたよらない心』『こだわらない心』『とらわれない心』である。
仏教とは、今生きている人のために存在するもので、いかに知恵を使って幸せに楽しく生きるかである、と氏は言い切る。人生にはお祝い事が三つある。ひとつは誕生であり、もうひとつは成人、今ひとつは《死》である。死は悲しむものではなく、むしろ喜ぶものである。常に感謝の気持を持ち、明るく前向きに生きていくことこそが、幸福をもたらすのである。氏はまたどんな質問にも明快に答えて頂いた。
黒の僧衣を身にまとい、輪袈裟を掛け、ピンと張った背筋はいかにも悟った人間だけが醸し出すオーラを感じた。
またお会いしたい人物である。
ゆく秋の 大和の国の 薬師寺の 塔の上なる ひとひらの雲(佐々木信綱)
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