今回で帝王学の講義は終わりである。
第一回目は、「貞観政要」について、二回目が「書経」について話した。今回は『韓非子』である。
韓非子の理論体系の根幹は、次の三つである。
① 性悪説 人間本性は悪であって、善なる部分は後天的な努力によって身についたものと言う説である。(性善説と並び称される考え方であるが、どちらが正しくてどちらが間違っているというものではなく、君主がどちらかの説に基づいて様々な政策を展開すればよいのであって、要はぶれない事が重要なのである。)
② 術 君主が胸の中に秘めておいて臣下を使いこなすノウハウ。韓非子が最も重要視した統治理論で、第一のポイントは権力の要の部分は握って絶対放してはならない、現代流に表現すれば人事権の掌握である。第二のポイントは、勤務評定である。現代では人事考課表の活用である。第三のポイントは、心の中を見せてはならない、と説いている。
③ 勢 人を押さえ込む力
私は元来『性善説』に立ってこれまで経営を進めてきた。今回改めて帝王学を読み、振り返ってみると、その時々において『韓非子』の唱える『術』を駆使した記憶が蘇ってくる。
企業経営は生き物である。一刻一刻変化している。その変化にどのように対応するかが、経営の本質である。
今、経営の第一線から退いてみて、今まで見えなかったことがいろいろ見えてくる。それを後世の人々に伝え、実践できるように力添えをし、成果に繋げていくのが私のこれからの使命のような気がする。
~中国古典に学ぶリーダーの条件~ ※守屋洋著参照

