一周忌

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彼は私の高校時代の友人で、仲間のうちでもずば抜けた秀才だった。京都大学を卒業後日産自動車に入社し、海外勤務や数々の要職を歴任し、私は将来副社長くらいにはなるだろうと期待していた。ところが例のゴーン氏の改革で路線を外され、ファイナンス会社に出向することになった。しばらくして発病し、手術後懸命のリハビリで復活し俳句の道に進んでいった。師にも恵まれ、持ち前の頭脳と努力でめきめき才能は開花され、2022年に『帰燕抄』という選りすぐられた秀作360句からなる句集を上梓したのである。ところが昨年旅先で倒れ帰らぬ人となった。諸事情が重なって葬式には参列できなかったが、一周忌の法要の案内をもらい、この度参列させていただくことにした。
法要は築地本願寺で執り行われ、ご親戚の人たちに交じって私と友人のK君もお参りした。僧侶三人による阿弥陀経がしめやかに唱えられ、続いて僧侶のお話があり、その後会場を移動し昼食をいただいた。食事を終えてから彼が生前に築地本願寺の境内に合同墓を設置しており、そこに案内してもらった。その場所を記憶し上京の度に訪れよう、そうすれば彼と会話が出来る。彼は私を認めてくれた一番の理解者であり、私が尊敬できる唯一の友人だから。

父母に 永遠の帰省子 稲の花

彼が追い求めた望郷の念を凝縮した渾身の一句である。
遅かれ早かれ私もそちらに行く。その時はよろしく。

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