ある男の一日

その男は大体午前6時前後に起きる。そして奥様の部屋のドアをノックし「もうそろそろ起きてください」と言う。
階下に降りて行き洗面所に向かう。舌ブラシで舌を掃除し、イソジンでうがいをする。そこまでは半分寝ているような状態である。多少足元がふらつきながら新聞を取りに行く。新聞を小脇に抱え、東の空に向かって手を合わせながら軽く頭を下げる。新聞を居間においてから、doctor齋藤から頂いたサプリと、糖尿に効くというふれ込みに心を動かされ購入した漢方を呑む。
そのころに階段を下りる奥様の足音がする。新聞に目を通していると朝食(食パン一切れ・卵焼き・低脂肪牛乳・バナナ半分・リンゴ二切れ・ヨーグルト)が運ばれてくる。20分くらいかけて食事を済ませ台所まで食器を運ぶ。病院から処方された糖尿病の薬を飲む。
洗面所に行き、最初に歯間ブラシで掃除をし、普通の歯ブラシで1分間ほど歯を磨き、それから電動歯ブラシを使い、20年前に購入した思い出の3分間砂時計を目安に磨く。最後に消毒液でうがいをすると一連の歯磨きが終了する。7時前後である。トイレに入る。まず便に血が混ざっていないかどうか、色は黒くはないか、を確認し、昨夜のうちに揃えていた下着をつけ、靴下を履き、服を着、ズボンに足を通す。
BSで朝ドラを見てから出社する。8時前である。8時20分頃にコーヒー(グァテマラ)が運ばれてくる。毎朝ある会社の業績をチェックする。天気予報(ゴルフの段取り)も確認し、9時を過ぎると購入している株式等を検索し売り時を考える。9時半頃に地元のカフェに向かい、連れと他愛のない会話をし、週2日は塾に行く。自宅近くの会社は今でも《代表取締役会長》であるため、会議や月次報告会は出席し、地鎮祭・竣工式にもスケジュールが合えば必ず出席する。
体調が悪くないときは夕方ごろゴルフの練習をする。ラウンドは2週間に3回くらいの割で行っている。10月からは目指している試合が始まる。なかなか強敵も増えそうで難しくなってきたが今年が最後と思って挑戦する。

こう記してみるとあまり世のため人のためになっていなくて怠惰な日々を過ごしている。
『小人閑居して不善をなす』
私の最も嫌な言葉である。

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