太郎のこと

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次男の結婚については、私も家内も半ば諦めていた。何度かお見合いのようなものを行ったが、なかなか双方が折り合うことがなく、40歳を迎えようとしていた。
そんなある日巡り合ったのが今の伴侶である。彼女の実家は姫路市内で料理屋を営んでおり、そこを手伝う傍ら音楽活動をしながら、ピアノや声楽を子供たちに教えていた。
話はトントン拍子に進み、両家の顔見せも終え、結婚式は私の家内が熱心な浄土真宗の仏教徒ということもあり、近くの寺院で仏前結婚を執り行った。長男の時もそうであったが、笙や笛が奏でられる中、荘厳で厳粛な式であった。コロナ禍であったため披露宴は周りの環境に配慮しながら、後日姫路のホテルで開催した。
何か月か経過したとき我々夫婦に朗報が舞い込んできた。赤ちゃんが宿ったということを聞かされて、私はもちろん、家内の喜びようはひとしおだった。安定期を迎えたころ、私は生まれてくる子供の名前を提案した。男の子なら《太郎》女の子なら《華》。
性別の判定は男の子だった。家内が《太郎》という命名に関して消極的に賛成だったほかは、全員一致で承認され、生まれる前から『彼』は太郎だった。例えば、お腹を誰かが触るときも「太郎ちゃん、元気で生まれてね」といった具合に。
晩秋の2021年11月16日に皆の期待を背負って太郎は元気に産声を上げた。義娘の実家も女の子しかいないし、義娘の実家の料理屋で働いている料理長も男の子がいなくて、周りが一体となり、「太郎ちゃん、太郎ちゃん」と言って可愛がり今日まで育てられている。
言葉こそまだほとんどしゃべれないが、歩くのも、いたずらも一人前である。

今以前私の父が住んでいた住まいを改装中である。この年末には完成し、そこに次男一家が越してくる予定である。少々広すぎる太郎の部屋はもちろん用意されており、義娘の実家が寂しがると思いゲストルームも完備し、いつでも来てくださいと言ってある。
それにもまして最も喜んでいるのは私の家内である。私はというとあと何年一緒に暮らせるだろう?太郎の成人式は見ることはできないだろう、などと無常に思いを馳せながら過ごしている・・・

 

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