まだまだ捨てたもんじゃない日本人

気の合った仲間とステーキハウスでプチ忘年会を済ませ、唯一姫路で懇意にしているクラブに出かけた。いつもの個室で1時間近く騒いだ後、ママの紹介で知らないお店の開拓を試みてみようと言う事になり、いつもより早めに勘定をお願いした。
料金書を示されたので支払いをしようと思い、いつものクレジットカードを取り出そうとしたが、財布の中にそれが見当たらない。待たすのも悪いと思い、別のカードで済ませた。もう一度ゆっくり捜したが、やはり財布にもバッグの中にもジャケットのポケットにもない。
少し冷静になって思い出してみると、その日の昼前にJRの自動券売機で新幹線のチケットを購入した時に使用した。新規開拓どころではない。電話では埒が明かないと思い、すぐさまJRの姫路駅に向かった。
切符売り場に行き職員に状況を説明し、届いていないかと尋ねた。女子職員は怪訝そうな顔をしていたが、
「ああ、そういえば届いていました。少し待ってください」と言って事務所の中に入っていった。しばらくして台帳のようなものを取り出して
「こうやまさんですか?」と言いながら、台帳を見せてくれた。私はその女子職員が天使に思えた。
「忘れ物センターのほうで預っていますが、今日はもう閉まっていますので明日来てください。その時は何か身分を証明出来る物を持って来て下さい」
「拾って届けてくれた人の名前は分かりませんか?」
「それは分かりません」
「ありがとうございます、明日来ます」
私は90%諦めていた。まだまだ日本人は捨てたものではない。感謝する冬の夜だった。

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