義と利

義とは、義理と人情、いいかえれば、《やさしさ》《思いやり》。
利とは、利益、いわゆる損得勘定。
歴史上で例を挙げれば、義は上杉家、利は武田家。上杉は謙信の志を受け継ぎ、紆余曲折はあったものの明治の世まで武家としての上杉家は存続し、現在は詳しくは知るところではないが、当主は宇宙開発にも携わりながら活躍しておられるようである。方や武田家は、信玄の強い個性あふれるリーダーシップのもと隆盛を誇ったが、信玄の死後跡を継いだ勝頼は、織田・徳川の連合軍に敗れるや衰退していった。その経緯は、利の豊臣家と義の徳川家と酷似している。
世界を眺めてみると、全てと言っても過言ではなく、国々の関係は利である。どの国と友好関係になれば得か?リーダーと称される人物も、誰と手を組めば名声を得られるか?が判断基準である。
さて私の身の回りに目を向けてみよう。寂しくはあるがほとんどが利の結びつきである。私が落ちぶれ果てて一文無しになったとしよう、手をさしのべてくれる人物は誰か?重い病気になり床についたまま動けなくなったとしよう、見舞いに心から来てくれる人は?
そう考えると究極的には、自分のことは自分自身で律するしかなく、刹那を大切に生きていかねばならない。
梅雨のさなかの戯言である。

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