藤沢周平

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少々疲れていても眠くても、ベッドの中で読書をするのが習慣になっており、余程のことがない限り毎晩続いている。
私と本との出会いは小学4年生頃だったと記憶している。何気なく図書館に入り、最初に手にしたのは「三国志」だった。あらゆることは出会いの印象で決まるものだと思う。ゴルフの時は、まったくまぐれでショートホールにおいてパーを取り、それがきっかけで今日まで約50年以上続いている。スキーとの出会いはあまりにも悲惨だったためそれ以降興味は湧かなかった。
三国志は楽しく私をワクワクさせた。続いて水滸伝を読み西遊記と、中国の歴史小説にはまっていった。高校になるといっぱしの文学青年を気取り、芥川や太宰を読み耽った。大学に進学し堕落した生活を過ごす日々が続いていた。それを見かねた友人の一人が、自分の下宿に私を呼んで、「これでも読め。麻雀と女の尻を追いかける時間があるなら」と言って渡してくれたのが「国盗り物語」だった。それをきっかけに私の読書熱に再び火が点り、五木寛之・山本周五郎・司馬遼太郎・生意気にカントなども読むようになった。
仕事をし始めて私の身の回りが騒がしくなり本との縁が切れかかっていた。ちょうどその時期に大学時代最も親しくしていた友人から「この本はお前の役に立つ」と言って贈ってくれたのが「坂の上の雲」だった。それから今日まで忙しい合間を縫って様々なジャンルの本を読み続けている。一時期は年間100冊ほど読んでいたと思うが、今はそれでも50冊くらいは読んでいると思う。
ところが最近はあまりいい本と出会っていなくて少々寂しくなっていた。
偶然にふと立ち寄った本屋で「藤沢周平の橋ものがたり」を手にした。藤沢周平は読破したと思っていたがそうではなかった。10篇の短編小説であるが、久しぶりに私の心の襞を揺るがす小説である。清々しい描写は、私の想像力を掻き立てた。
「藤沢周平」完全に私の友人である。

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