トルコ旅日記~渋滞んでイスタンブール~8月17日

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イスタンブールでの滞在ホテルはクラウンプラザホテルである。娘(名前はあずさ)には昨夜、AM9時にホテルのロビーに来るように電話で伝えておいた。
約束の9時10分前にロビーで待っていると、石川県から来ている正真正銘の新婚カップルもロビーへエレベーターで降りてきた。
「今日は娘さんとご一緒なのですよね」と主人が話しかけてきた。
「ええそうなんですが、まだ来ません。今朝は奥様の顔色は良さそうですね、二日ほど前はしんどそうでしたものね。」と言うと
「よく観られていますね、実は体調を崩していたのですよ。」と主人。
「昨夜は本当によく眠れましたから、元気になりました。」奥様が付け加える。
私の個人的な評価では、高いほうから三番目に位置するカップルである。年齢は30歳を超えていて、決して新鮮とは言えないが、好感度の高いペアである。
石川新婚カップルは、出発まで時間があるのだろう、ホテルの玄関から「行ってきます」と挨拶しながら出かけていった。
あずさは9時を過ぎても来ない。「渋滞がひどくて」と言い訳しながら15分以上遅れてやって来た。勿論同居人も一緒に。
「お父さん、一年ぶり」たどたどしい日本語で精一杯の愛想を振りまく同居人。私は心の中で(お前にお父さんって呼ばれる筋合いはない)と叫ぶ。
事前に観光スポットを調べておくように、と娘に言っておいたのでホテルのソファーに座り、今日一日の計画を確認しあった。移動方法は基本的に渋滞を避ける為に《トラム》(路面電車)を使うことにした。先ず回数券を買い求める。
最初にアレキサンダー大王の石棺があり、ギリシア・ローマ時代の発掘品のコレクションで世界的にも評価の高い「国立考古学博物館」を訪れた。その膨大な量の出土品や彫刻は、考古学的知識の薄い私でも感動を覚えた。また、装飾タイルの見事さも、今も目に焼きついている。
次にアヤソフィア大聖堂へ行く。ビザンティン建築の最高傑作と称され、トルコの幾多の歴史を物語る建築物である。ローマ時代には、ギリシア正教の総本山として君臨していたが、後にイスラム寺院として姿を変え今日に至っている。イスタンブールを象徴する建物で、トルコ人も含め、世界各国の観光客で賑わっている。
寺院内は工事中であったため、私は30~40分くらいで見終わった。出口で二人を待っていたがなかなか現れない。30分ほどしてあずさがやっと姿を現した。いくら待っても一向に同居人が出てこない。娘に中の様子を見に行かせる。小一時間ほどしてやっと足を引きずりながら同居人が現れた。
午後の1時近くになっていたので昼食を取ることにしたが、適当なお店が見当たらないのでホテルに帰りランチをすることにした。ランチを済ませてから、暑さと歩きに多少疲れたので、私の部屋で休憩をとる。昼寝を含めて1時間ほど身体を休めてから、スルタンアフメット・ジャーミィへ行った。この建物はオスマン朝時代の最高傑作で、トルコを代表するイスラム寺院であり、今も多くのイスラム教徒の礼拝堂として使用されている。
日本の神社仏閣では見受けられないが、キリスト教会もそうだが、イスラム教の寺院に礼拝するときは、男性も女性も肌を露にする事は許されない。特に女性はショールを頭に巻き、肌は見せてはならない。
地下宮殿を足早に見学してから、我々はグランドバザールに行くことにした。そこは巨大迷路である。広さは見当つかないが、甲子園球場の30倍はありそうである。お店の多さといい、品種の多さといい、ないものはない。知識が豊富であったなら、上手に買い物が楽しめると思った。同居人は音楽家である。歌も上手いが、楽器なら殆どこなせる。今年の初めに、尺八を送って欲しいと頼まれて、その道のベテランに相談し買い求めウィーンに届けた。尺八は「首振り三年」と言われるほど難しいが、彼は10分で演奏できたとの事。彼はボンゴを買った。値段が安いわりには音が良い、というのが理由だ。
あずさはいろいろ迷っていたが、グランドバザールではショッピングはしなかった。結局ホテルに隣接しているお店で買うことにした。ランチの時にホテルから今夜の食事をリザーブしてもらっていたので、時間の余裕はあまりなかった。散々試着したが、私の推奨するワンピースは娘の身体がふくよか過ぎて似合わない。最終的には同居人が勧めるレザーのジャケットに決めた。予約の時間が押し迫っているので、ホテルの前に停車しているタクシーを利用することにした。それがそもそもの間違いだった。10分もかからない場所だが、イスタンブール名物《渋滞》に巻き込まれ、運転手は色々と脇道を通ったにも関わらず、30分以上も遅れてしまった。
レストランの名前は《SHA》。屋上の見晴らしのよい席に案内された。
《前菜》《スープ》《野菜サラダ》そして《肉料理》それと焼きたてのパン。
前菜は5種類ほどありどれも美味しく、スープはこくがあり香りも良く、野菜サラダはシャキシャキして歯ごたえもいいし、肉は柔らかく風味があった。やっとディナーにありつけた、という思いだった。屋上の席は、マレマラ海からの心地よい風が頬をなでる。アヤソフィア大聖堂をはじめ、旧市街が一望できる。ご満悦、ご満悦。
トラムの駅で彼らと別れた。私の泊まっているホテルは旧市街にあり、彼らの宿泊しているホテルは新市街である。
もう少し一緒にいたいという気持ちはあったが、顔には出さず潔くさよならを告げた。
今度いつ会えるかは分からないが、彼女が幸せに暮らしていくことを願った。
イスタンブール最後の夜は終わろうとしている。
明日はまた例のツアー客達が待っている。
おやすみ、アラーの神。

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