鈴虫

  あれまつむしがないている
  チンチロチンチロ チンチロリン
  あれすずむしもなきだして
  リンリンリンリン リインリン
            文部省唱歌
何日か前にうちの家内が、フラダンス仲間の一人から鈴虫を貰ってきた。それもご丁寧に虫かごに入れて。家内はあまり気が進まなかったが、せっかくなので頂いてきたとのこと。毎晩なすびときゅうりを輪切りにして、少しだけ水分で湿らせ、虫かごの中に餌として与えていた。
一週間ほど経過したが一向に鳴く気配がない。鳴くのはオスで、主に求愛のためだそうだが、家内はあまり鳴き声を聞かないので、メスでは?と多少いらだっていた。すると明け方頃に、リインリイン、という鳴き声を聞き、私に《鳴いている》と知らせたが、私が行くと鳴き声が止まるらしく耳に入ってこない。それから夜、早朝頃には透き通った音色を私も幾度か楽しんだ。
しかしながら我々は恐ろしい事実を知る羽目になった。と言うのは、4匹くらい貰ってきたのであるが、時が過ぎるにつれて生存をかけて共食いが始まり、1匹2匹と減っていくのだそうである。それを知った私たちは、一日でも早くその辺りの草むらに放してやろうと、意見がまとまり昨夜実行に移した。その後どうなるかは知るところではないが、あまりに惨い自然界の掟を目のあたりにするのだけは避けたかった。
人間も昆虫も生きてゆくのはそう容易ではないらしい。

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