結婚して55年が経過した。
もし僕が僕の妻として一緒に暮らしていたとしたら、とても今の状態は存在しなかったと思う。ゆっくり話し合ったことはないが、家内は僕のことを一体どう思っているのだろう、と推察するだけでも恐ろしい気がする。
我儘で、いいかげんで、自由奔放な僕自身を想うとき、彼女はやはりお釈迦様で僕は孫悟空なのだと自覚する。彼女の手のひらの上で遊ばれている自分自身を垣間見ることがある。彼女の意識の中では全く無意識で自然に振る舞っているのだが。僕は子供たちの授業参観はおろか、運動会にも一度も行ったことがない。村の付き合いも葬式以外は参加したことがない。今思っても本当に困ったものである。何一つ僕は彼女にかなうものはない。
彼女は昨日インカ文明を巡る旅に出発した。7人のツアーらしいが、もちろん知り合いなど一人としていない。どうしてもマチュピチュを訪れたかったのである。僕も誘われたのであるが高地は苦手なので辞退した。それにしてもその好奇心と勇気には脱帽である。来年ガウディを誘われている。今のところ僕は行く気になっている。
僕がどうしてもかなわない人
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